豚肉や鶏肉はしっかり火を通すのが常識とされている一方で、赤味の残るビーフステーキは当然のように市民権を得ています。もっといえば、牛肉の表面を炙っただけの牛タタキも飲食店で提供されています。
この違いは何なのでしょうか。今回は牛肉をレアで食べても大丈夫な理由について解説していきます。
食中毒の原因菌は基本内蔵に生息している
まず前提として、牛に限らず豚も鶏も、なんなら人間も健康な状態では筋肉中は無菌に保たれています。生物の免疫システムは筋肉中で菌が繁殖しないよういつも防いでくれているのです。
ここだけ聞くと、すべての肉が生食できそうな気がしてきますが実際にはそれは不可能です。なぜなら無菌なのは筋肉中に限った話で、内蔵には食中毒の原因菌が生息しており、動物を解体する過程でどうしても肉に菌が付着してしまうからです。
これは解体プロセスの衛生面が悪いという話ではなく、肉に菌をつけずに内臓を処理することがそもそも難しいということです。
そういうわけで精肉された肉類の表面には食中毒菌が付着しているという前提で扱う必要があります。
- 生きている動物の筋肉は基本的に無菌状態
- 食中毒の原因菌は内蔵に生息している
牛肉がレアで食べられる理由

上で説明した通り、精肉にされた牛肉の表面には菌が付着しています。しかし逆にいえば菌がついているのは表面だけなので、表面に火を通せば安全に食べることができます。
これが牛肉をレアステーキやタタキ(表面を炙っただけ)で食べることができる理由です。
レアステーキの中心部は生ではなく52~55度程度まで温められた状態ですが、この温度では食中毒の原因菌を完全に死滅させることはできません。にもかかわらず飲食店でレアステーキの提供が認められているのは、牛肉の内部は”無菌である”という共通認識があるからなんですね。
ちなみに牛刺しやユッケのような完全な生食を行う場合には、塊肉の表面から1cmまでを60度で2分相当の加熱処理を行い、その後表面を除去してから牛刺し・ユッケとして提供しないといけません。
これにより肉塊の中心部分しか使えず、歩留まりが悪くなるので、牛刺しやユッケはお値段が張るわけです。
豚肉や鶏肉はレアで食べられる?
健康な動物の筋肉中が無菌であれば、豚や鶏もレアの焼き加減で食べられそうな気がしますが、残念ながらそれは不可能です。
豚や鶏は内蔵に生息する食中毒菌の他、筋肉中に寄生する寄生虫や、筋肉の内部に潜り込む細菌、E型肝炎ウイルスなどが結構な確率で潜んでいるため、レアで食べるのは非常に危険です。
一部鶏タタキや鳥刺しを提供する飲食店もありますが、この食べ方は鶏肉の鮮度や飲食店側での衛生管理に関わらず食中毒のリスクをはらんでいます。法律では禁止されていないので、”食べるなら自己責任”ということですね。
ちなみに鶏肉はむしろ新鮮なほどカンピロバクターによる食中毒リスクが高いのでご注意を。
まとめ
今回は牛肉がレアで食べられる理由についてのお話でした。
生きている動物の筋肉が無菌だというのは意外と知らない人が多かったのではないでしょうか。まあスーパーに並ぶ頃には菌がついているとあってはあまり役にたたない知識ですが。
解体のプロセスで完全に内蔵と肉を接触させずに分離する方法でも開発されればいいんですけどね。そしたら生食の許される肉も増えるかもしれません。
今回はこれで以上です。それではまた。







コメント